Living with Typhoon Sinlaku: A Personal Record from Guam, April 2026
📅 調査・執筆:2026年6月
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2026年4月にグアムに引っ越して落ち着く暇もなく、台風Sinlakuが来た。
あれからもうすぐ2ヶ月が経つ。生活も少しずつ落ち着いてきて、ようやくあの日のことを言葉にできる気がしてきたので、振り返りも兼ねて、記録として残しておこうと思います。
グアムの台風は、日本のニュースで見るものとスケールが違う。これは移住してすぐに、身をもって知ったことです。
台風Sinlakuとはどんな台風だったか
2026年4月に発生した台風Sinlakuは、一時カテゴリー5相当の「スーパー台風」にまで発達した、記録的な台風でした。米国国立気象局(NWS)は、グアムおよびマリアナ諸島地域に「極めて危険で生命を脅かす状況」として最高レベルの警戒を発令。最大風速は1分間最大で時速295kmに達すると予測されました。
その後、進路がやや北寄りに変わり、グアムへの直撃こそ免れましたが、移動速度が非常に遅かったため、長時間にわたって強風と大雨をもたらしました。4月14日にはサイパン島に最大瞬間風速約209kmの突風が観測されるなど、北マリアナ諸島では深刻な被害が発生。グアム・サイパンをあわせて1,000人以上が避難を余儀なくされ、FEMAによる連邦支援が承認されたのは4月17日のことでした。
グアムに近づいてから速度を緩めて停滞したので、太いヤシの木が根こそぎ倒れて電線が切れるなどの被害が出ています。
この記事で私が体験したのは、その台風の一面にすぎません。より深刻な状況に置かれた方が大勢いたことを、念頭に置いたうえで読んでいただけると幸いです。
台風前日——スーパーに走った
2026年4月上旬にグアムへ引っ越した。夫が半年先に赴任して暮らしていたので、生活の基盤はある程度できていた。大きな荷物は別便で送り、必要最低限のものをスーツケースに詰めて、新しい生活への期待と知らない土地への緊張に胸を膨らませてグアムへ。
そんな中落ち着く暇もなく、台風Sinlakuが来た。移住後すぐのことだった。
台風が近づいていることは分かっていた。昼食に訪れたレストランのスタッフの方が「準備はしたか?」と声をかけてくれるほど、島全体に緊張が走っていた。夫の会社でも「一刻も早く必要なものを買うように」との指示が出て、金曜日に懐中電灯・カップラーメン・水などを買って帰ってきた。
地元の方々は、2023年5月にグアムを直撃した台風Mawerの記憶も新しく、停電・断水を前提に備えておくべきものを教えてくれた。グアムの台風への向き合い方は、島に長く暮らす人たちの知恵が積み重なっている。その言葉のひとつひとつが、移住したばかりの私には心強かった。
それでも夫が買ってきたものだけでは足りないと感じ、土曜日の朝、Donki Villageへ。必要なのは何より水。断水を前提に、飲料水と生活用水を貯めておける容器が必要だった。あとはカセットボンベ、インスタント麺など。


食料品や飲料水は豊富にあったものの、水を入れておくウォーターボトルはすでに品切れ。Home Depotへ向かったが、ここでも完売。仕方なく、27gal(約102L)のストレージボックスを3個購入した。

グアムの人たちは慣れたもので、表情は落ち着いていた。私だけが少し浮足立っていたと思う。土曜の午後から、だんだん風が強くなってきた。
台風当日——徐々に強くなる風と雨
日曜日。雨風が強まってきたものの、台風はまだグアム南東の海上にある。Sinlakuの特徴は、とにかく移動速度が遅いこと。雨雲レーダーアプリで確認したところ、ピークは月曜の夜から火曜日にかけてになりそうだった。
子どもたちは月曜から現地の学校へ通い始める予定だったが、学校から「台風のため閉校」との連絡が届いた。
この頃はまだ、子どもたちが休校を喜ぶ余裕もあった。
天井から水が落ちてきた
日曜の夜、窓を叩きつける雨の音で眠れなかった。それでも月曜日は停電もなく、家の中で日常を送ることができた。
本当の台風の脅威を感じたのは、火曜日だった。
月曜も夜中、叩きつける風雨の音が続き、深く眠れなかった。火曜の朝も電気はついていて、家に変化はない——そう思っていたところ、リビングに立っていた子どもが「なんか床が濡れてるよ」と言った。
確かに、床に水たまりができていた。たどると、壁のひびから雨と風が吹き込んでいる。急いでタオルで拭いたものの、次から次へと水が入り込んでくる。
そうこうしているうちについに停電した。
住んでいた集合住宅にはジェネレーターが設置されていたため、リビングの照明1つと冷蔵庫は動いていた。水も出た。それだけで、ひと安心だった。停電でも水が出ない状態に追い込まれた方がグアム全体で多くいたことを思うと、この環境はありがたいものだったと後から実感した。
ただ、浸水を拭くためのタオルが足りない。洗濯機は停電で使えない。家族総出でタオルを吸水させては絞り、また拭く——その繰り返し。
停電のまま夜になり、懐中電灯の生活が続いたため、早めに就寝した。
明け方3時頃、子どもが目を覚ましてリビングへ確認に行った。浸水はリビング全体には広がっておらず、ひとまず安心——と思ったその瞬間、高いところから「ビシャッ」と水が落ちる音がした。
恐る恐るキッチンへ向かうと、床がびしょびしょ。上を見上げると、天井に穴が開いていた。
人生で雨漏りを経験する日が来るとは思っていなかった。
とりあえずボールを置いて、ポタポタをしのいだ。

2〜3日後——ようやく外へ
水曜日も停電は続いた。外出禁止令が解けずまだ外に出られない。
洗濯ができないからタオルも増やせない。床はようやく拭いたものの、全体的にしっとりとした空気が漂う。お風呂にも入れず、熟睡もできず、疲労はピークに達していた。
それでも、ジェネレーターがある。水も出る。自分たちは恵まれた環境にいる——そう思い続けた。実際、グアム全体では停電・断水が広範囲に及び、自宅を離れざるを得なかった方も多かった。サイパンではさらに深刻な被害が出ていたことを、後になって知った。
木曜日の午後、ようやく外出禁止令が解除された。外に出ると、まだ曇空で風もあったが、少しずつ落ち着い気を取り戻している海が見えた。

移住してすぐの台風で、わかったこと
音も、停電の長さも、浸水・雨漏りのリアルさも——グアムの台風は、日本のニュースで見るものとは別物だと思った。
移住を考えている方には、台風シーズンの備えを最初から頭に入れておいてほしい。水は最低でも1人3日分。懐中電灯とモバイルバッテリーは必須。浸水・雨漏りに備えてモップや吸水タオルも事前に用意しておくこと。テレビやパソコンにかけられるカバーも、あった方がいい。
私はこれを台風の最中に学んだ。できれば来る前に知っおきたかった。
それでも、乗り越えた。移住後すぐに台風を経験して、少しだけ、ここで生きていける気がしてきた。島の人たちが台風と上手に付き合いながら暮らしてきたように、私も少しずつそれを覚えていけたらと思う。
移住前に用意しておきたい台風対策グッズ
| アイテム | 目安・メモ |
|---|---|
| 飲料水 | 1人1日2L × 3日分以上 |
| モバイルバッテリー | 大容量(20,000mAh以上推奨) |
| 懐中電灯 | 予備電池も忘れずに |
| カセットコンロ+ガス | 停電時の調理用 |
| 缶詰・レトルト食品 | 3〜5日分 |
| 現金 | 停電時はカード決済不可のことも |
| モップ・吸水タオル | 浸水・雨漏り対応に必須 |
| 家電カバー | テレビ・パソコンへの浸水防止に |
| ウォーターボトル・ストレージボックス | 生活水貯蔵用 |
参考:台風Sinlaku 警戒レベルの推移
| 日時(現地時間) | 発令内容・警戒レベル | 主な指示・状況 |
|---|---|---|
| 4/10(金)17:00 | COR 3 発令 | 知事が緊急事態宣言(EO 2026-01)に署名。48時間以内の暴風を警戒。 |
| 4/11(土)18:45 | JIC Release No. 3 | 台風(Typhoon)に格上げ。軍の警戒レベルもTCCOR 3へ。避難所の開設準備開始。 |
| 4/12(日)12:00 | COR 2 発令 | 政府機関・学校が閉鎖。ゴミ収集などの公共サービスが一時停止。 |
| 4/13(月)16:00 | COR 1 発令 | 事実上の外出禁止指令。12時間以内に破壊的な暴風の恐れ。 |
| 4/15(水)02:15 | JIC Release No. 22 | スーパータイフーンから台風へ格下げ。依然COR 1継続。「COR 4宣言まで屋内に留まれ」と再強調。 |
| 4/15(水)07:00 | JIC Release No. 23 | 台風の動きが遅いため、屋内待機指示を延長。海への接近も厳禁。 |
| 4/17(金) | FEMA 緊急宣言 | 米国大統領が連邦政府による支援を承認。復旧支援が本格化。 |
用語解説と公式情報ソース
グアムでの生活において、台風などの緊急事態時に必ず耳にするキーワードを整理しました。
COR(Condition of Readiness)
グアム政府が発令する「台風に対する準備・警戒レベル」。数字が小さくなるほど危険度が上がります。
| レベル | 状況 |
|---|---|
| COR 4(通常時) | 72時間以内に破壊的な風(時速約63km以上)の恐れがない状態 |
| COR 3 | 48時間以内に破壊的な風の恐れがある状態 |
| COR 2 | 24時間以内に破壊的な風の恐れがある状態 |
| COR 1 | 12時間以内に破壊的な風の恐れ、または既に発生している状態(事実上の外出禁止) |
TCCOR(Tropical Cyclone Condition of Readiness)
米軍(マリアナ共同地域:JRM)が、基地内および軍関係者向けに発令する警戒レベル。基本的には政府のCORと連動しますが、基地独自の判断で先行してレベルを上げることもあります。
JIC Release(Joint Information Center Release)
グアム国土安全保障局(GHS/OCD)内に設置される「共同情報センター(JIC)」が発行する公式文書。知事室・気象局・公共事業局などの情報を集約し、住民に「今何をすべきか」を伝える唯一の公式情報源です。各リリースには通し番号(No. 1, No. 2…)が振られます。
公式情報ソース一覧
台風シーズン前に、以下のサイトをブックマークしておくことをお勧めします。
- グアム国土安全保障・民間防衛局(GHS/OCD) CORの定義や最新のJICリリースが掲載されます。→ https://ghs.guam.gov/
- グアム政府知事室 知事による緊急事態宣言や公式声明はこちら。→ https://governor.guam.gov/
- 国立気象局(NWS)グアム支局 台風の進路予想や各種気象警報の元データを確認できます。→ https://www.weather.gov/gum/
- Joint Region Marianas(Facebookページ) 軍の警戒レベル(TCCOR)はSNSでの発信が最も早いです。
ひとつアドバイスをするとしたら: グアムでの生活では、SNS(特にFacebook)が重要なインフラです。「Guam Homeland Security/Office of Civil Defense」の公式Facebookページをフォローしておくと、JIC Releaseが投稿されるたびに通知が届き、いざというときに素早く動けます。デマに惑わされないためにも、公式ソースを普段から押さえておくことが大切です。
📝 掲載情報は執筆時点のものです。警戒レベルの定義や公式情報源は変更になる場合があります。最新情報は各公式サイトでご確認ください。
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✍️written by Asa_Hi|グアム在住・二児の母About Me
2026年4月よりグアムに在住。現地ならではのリアルな情報をお届けします。
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